湯潅、納棺
湯潅(ゆかん)とは、
故人の身体をお風呂に入れてキレイに清めることです。
しかし、身体を拭くだけの清拭のことも「湯潅」と呼ばれたりするみたいです。
私が働いてるところでは、湯潅=きちんとお風呂に入れてさし上げることです。
「湯潅師」と呼ばれるプロの方が担当し、
寝たままで入れるような風呂桶を車に積んで葬儀場やご自宅まで来てくれます。
お風呂に入れてくれて、服の着替えもしてくれて、髪形を整え、
女性なら化粧を、男性ならひげ剃りもしてくれます。
もちろん、体液が流れ出ないように鼻などの詰め物もきちんと処理してくれます。
価格は7万円〜15万円くらいで、ちょっと高めなのですが、
湯潅をすると、故人の身体やお顔は本当に本当にキレイに整います。
とっても喜ばれ、感動されるご遺族もたくさんいらっしゃいます。
かと思えば、数日の内に火葬してしまうのだから、そんなにお金かけなくても…
というスタンスのご遺族ももちろんいらっしゃいます。
さて、湯潅を終えると、故人を柩へと納棺します。
柩に入ってしまうと、なんだか少し故人が遠くなってしまったように感じるものです…
ですが現実的なハナシ、
ご遺体は柩に納棺した方がドライアイスの効き目も効率的で、
最後までキレイなお顔でお別れ出来るというものなのです。
無神経な話に思われるかもしれませんが…
納棺はご遺族も必ず手伝って、というかご遺族の方が中心となって行います。
この時、
仏教では死出の旅に出るための姿として「死装束」を故人に身に付けさせます。
着物、手甲、脚半、足袋、わらじ、などなど…
四国八十八か所霊場を巡るお遍路さんみたいな格好です。
ですが最近では
「最後はおじいちゃんのお気に入りの服を着せてあげたい」など
ご遺族の、または故人の希望する服を身に付けて納棺されることも多いです。
仕事で着ていた制服であるとか、
生前よく着ていたお気に入りの着物などもステキです。
こういう場合、
死装束は着せずに、一緒に納棺しておき、
あちらの世界へ行ってから着替えてもらうということにします。
地方によっては、納棺に町内の人たちも立ち会うところもあるらしいです。
町内の人たちがお経をあげてくれている中で、納棺をするというのです。
私も聞いたことがあるだけで、まだ実際に見たことはありません…
実に様々な風習があるものです。
また、柩には故人が生前に愛用していた品物も一緒に入れてあげます。
火葬するので、可燃性の品物でなければいけないので注意します。
例えば、故人のお気に入りだった服だとか、
家族で撮った写真だとか、故人への感謝のお手紙だとか…。
故人が趣味で使っていた釣り竿、ゴルフボール、ゴルフクラブなどを
入れてあげたいと言われる方は結構多いのですが、
これらは絶対に入れてはいけないワースト3に入るくらい危険です。
火葬の際、ご遺骨を傷つけてしまいます。
どうしても入れてさしあげたい場合には、
釣りをしている写真、あるいはゴルフをしている写真を、
代わりに入れてあげてはどうでしょう?
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